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プルヴィクト®静注による治療を受ける患者さんとご家族の方へ

マンガ・解説監修:金沢大学附属病院 核医学診療科  講師 若林 ⼤志 先⽣

マンガ1/4の注釈

実は、父さん放射性リガンド療法という治療を受けようと思うんだ

プルヴィクトは、PSMAが陽性の遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺がんの患者さんを対象にした薬です。この薬は、患者さんの前立腺がん細胞に多く存在するPSMAというタンパクを狙い、がん細胞に結合して放射線を放出します。このように、からだの中から放射線をあて、がん細胞を攻撃する治療法のことを「放射性リガンド療法」といいます。

プルヴィクトの作⽤機序(イメージ)

イメージ図:プルヴィクトの作⽤機序

治療を始める前に、がん細胞にPSMAが多く存在することを専用の検査で確認します。腎臓に障害のある方は、治療前に医師に相談してください。PSMAの確認後は、6週間ごとに本剤の点滴や静脈注射を行い、計6回投与します。全体の治療期間は約8ヵ月間です。

プルヴィクトによる治療全体のスケジュール

イメージ図:治療全体のスケジュール

マンガ2/4の注釈

〝放射性同位元素を結合させた薬剤を使用する治療法である放射性リガンド療法〟は体内でがん細胞だけを狙うようになっています

※放射性同位元素:ベータ線およびガンマ線という放射線を放出する物質

放射線とは、高いエネルギーをもち、通過する物質に影響を与える電磁波や粒子です。放射線を放出する能力(放射能)をもつ物質を、放射性物質と呼びます。放射線治療と聞いて一般的にイメージされるのは、からだの外から放射線をあてる方法(外部照射)かと思います。外部照射は、まっすぐ進む放射線の性質を利用しているため、がん細胞の通り道にある正常組織も放射線の影響を受けます。一方で、プルヴィクトは点滴や静脈注射によって体内に取り込まれます。
本剤はがん細胞に集まる性質をもつため、治療による正常組織への影響が少なくなります。また、本剤に使われている放射性物質はベータ線とガンマ線という放射線を放出します。体内でベータ線が届く距離は最大2.2mm(平均1mm 未満)と短いため、正常細胞への影響は少ないと考えられます。ガンマ線が届く距離はベータ線よりも長く、からだの外に出てしまいます。周囲の方への影響を最小限に抑えるために、投与後7日間は適切な距離(1~2m)を保って過ごしましょう。

プルヴィクトによるからだの中での放射線照射(イメージ)

イメージ図:放射性物質が体内にある場合

マンガ3/4の注釈

減衰とは、放射線が時間とともに弱くなることです

放射性物質が放出する放射線は、時間が経つにつれて減少します。放射能(放射線を放出する能力)が弱まり、半分になるまでの時間を半減期といいます。半減期が経過するごとに、放射能は半分、また半分、そのまた半分と弱まります(減衰)。また、プルヴィクトは主に尿として体外に排出され、血液中に長く残りません。そのため、患者さんの多くは1~2日で退院することができます。退院後の数日間は、いくつかの注意事項を守る必要がありますが、からだから放出される放射線量は日常生活に支障がない値に下がっています。

マンガ4/4の注釈

放射線は自然界にもあってレントゲン1回分より少ないっていっていたから

私たちの身の回りには自然に放射線が存在しており、常に放射線を受けています。プルヴィクトの治療を受けた患者さんが基準を守って退院する場合、同居している方(介護をされる方)が受ける放射線量は、6回分の治療で約2mSv(ミリシーベルト)です。これは胃のレントゲン検査1回分(3mSv)や、日本で自然環境から受ける放射線量1年間分(2.1mSv)よりも少ない量です。ただし、子供は大人よりも放射線の影響を受けやすいため、小さいお子さんや妊婦さん、授乳中の方がいるご家庭では、投与後7日間、患者さんとの触れ合いを最低限にしてください。

日常生活と放射線

図:プルヴィクトの6回の投与により介護者が受ける放射線量と身の回りの放射線量との比較

1)⽇本核医学会 ルテチウム-177 標識 PSMA 特異的リガンド(Lu-177-PSMA-617)を⽤いる核医学治療の治験適正使⽤マニュアル(第2版) (2022年9⽉14⽇)
2)国⽴研究開発法⼈ 量⼦科学技術研究開発機構 放射線医学研究所 放射線被ばくの早⾒図 https://www.qst.go.jp/uploaded/attachment/22422.pdf(2025年8⽉アクセス)

放射線と聞くと「周囲に迷惑をかけてしまうのでは」と不安になるかもしれませんが、大切なポイントさえ押さえれば、普段通りの生活ができます。 ご家族と一緒にマンガや冊子を読んで、安心して 治療にのぞみましょう。