② 重大な副作用
グリベックの服用中に下記の症状があらわれたときは、次の診察まで待たず、すぐに受診してください。
- 貧血、発熱、出血しやすい
-骨髄抑制の症状の可能性があります。 - 頭痛、意識障害、腹痛
-脳や硬膜下、消化管などの出血の可能性があります。 - 下血、吐血、腹痛、腹部膨満感
-消化管穿孔(穴があくこと)、腫瘍出血の症状の可能性があります。 - 体重が増える、胸の痛み、呼吸困難
-重篤な体液貯留の症状の可能性があります。 - 発熱、から咳、呼吸困難
-間質性肺炎、肺線維症の症状の可能性があります。
いつもと違う症状が出たら、早めに主治医や看護師、薬剤師に相談しましょう。
なお、上記以外にもグリベックの服用中に気をつけなければいけない副作用として、肝機能障害、黄疸、肝不全、感染症、重篤な腎障害、重篤な皮膚症状、ショック、アナフィラキシー、心膜炎、脳浮腫、頭蓋内圧上昇、麻痺性イレウス、血栓症、塞栓症、横紋筋融解症、腫瘍崩壊症候群、肺高血圧症があります。これらの副作用に関して気になることや不安に思うことは、主治医や看護師、薬剤師に質問しましょう。
用語解説
骨髄抑制
抗がん剤や放射線治療でよくあらわれる副作用。骨髄での造血(血液の産生)が抑えられ、白血球、赤血球、血小板が減少することで貧血などを引き起こす。また感染症にもかかりやすくなる。疲れやすいなどの症状があるが、自分ではなかなか気づかないことが多い。
硬膜下
硬膜というのは脳を覆う膜の一つ。脳は3つの膜に守られており、その一番外側の膜を硬膜といい、硬膜と脳の隙間を硬膜下という。発現頻度は不明であるものの、グリベック服用中には、この隙間に出血が起こる可能性が報告されている(硬膜下出血)。意識障害や頭痛などの症状があらわれる。
腫瘍出血
腫瘍組織からの出血のこと。固形の腫瘍組織では成長するために血管が新たに作られ(新生血管)、新生血管から栄養をとっている。新生血管は壊れやすく、またGISTでは腫瘍が急激に壊死、縮小をしやすいため、腫瘍出血を起こしやすいといわれている。
体液貯留
腎臓から尿として排出される塩分や水が体の中にたまった状態。まぶたの周りの浮腫(むくみ)が全身にあらわれ、肺に水がたまり(胸水)、呼吸困難や咳、痰(たん)の症状が出ることがある。また腹水がたまることがある。体重の増加で発見されることが多い。
間質性肺炎
肺には肺胞(吸い込んだ酸素を体に送るぶどうの房のような組織)があり、肺胞の隙間である間質の炎症のこと。発熱や呼吸困難などの症状があらわれる。治療の早期からは起きないので定期検査をすることで早期発見できる。
肺線維症
間質性肺炎の経過が進行した疾患。間質が異常に増殖して肺の機能が低下した状態になる(線維化)。咳、呼吸困難が主な症状で、ベルクロラ音(マジックテープをはがしたときのような音)が出てくるのが特徴である。発現頻度は不明であるものの、グリベックでは間質性肺炎や肺線維症が起こる可能性が報告されているため、重症にならないように注意が必要である。